金属の切削加工は様々な分野・業界・用途の製品で使用されている加工方法です。
加工技術や工作機も多くあり、求める製品の形状等により最適な加工法が求められます。
金属切削加工とは
金属切削加工とは、金属のブロック材料や丸棒材を機械加工にて削り取って求める製品形状を形成する加工になります。
フレイス加工や旋盤加工、素材を削ります。時にはワイヤーや放電加工機にて加工します。
金属切削加工は比較的寸法精度が高い加工方法になります。
金属切削加工の工程
工程・設計
まずは製品図面(2D図面・3Dデータ)を確認して、加工工程を設計します。
製作する製品に対して必要な工程を組みます。また、必要な金属材料のサイズや必要な工具を選定します。
材料・工具などの手配
製品を製作するのに必要な金属材料の手配、必要に応じて加工工具の手配をします。
前段取り
マシニングセンターなどで製品形状を加工する前段階として、元の材料の寸法精度を出します。(角出し)
フレイス加工や平面研磨などを使用して角出しを行います。六面体の直角・平行度・寸法の精度を出します。
加工NCプログラムの作製(CAD/CAM)
マシニングセンター・NCフライスなどのNC加工機を使用して加工をするためにNCプログラムを作成します。
NCプログラムとはコンピューターで数値を制御するためのプログラムです。
製品図面の2D図面・3DデータからCAD/CAMを使用してプログラムを作成さいます。
使用する工具や加工工程順により加工時間や加工精度が変わりますので、重要な工程になります。
CAD/CAMのシミュレーション機能を確認してNCデータを作成します。
切削加工
前段取りやNCプログラムの製作が完了したらワークを切削してきます。
切削加工は大きく分けて「転削」と「旋削」に分けられます。
転削は工具を回転させてワークを削っていきます。汎用フライス・NCフライス・マシニングセンタ・3軸加工機・5軸加工機など。
旋削加工は被削材料を回転させて切削工具(バイト)を当てて切削し所定の形状を形成する方法になります。
汎用旋盤・NC旋盤(CNC旋盤)など。
仕上げ
仕上げ加工が必要な場合は仕上げ加工を行います。
研削・研磨加工などで、鏡面仕上げ・ヘアライン加工・エンボス仕上げなどの加工を施します。
また、バリ取りや手仕上げも必要に応じて対応します。
表面処理
材質や製品の使用用途に応じて、メッキ・アルマイト処理・クロメート処理・黒染め処理・各種塗装・ブラスとなどの表面処理施します。
検査
外観・形状・寸法確認等を行い、問題なければ出荷に進めます。
切削加工の金属材料
金属材料は鉄鋼金属と非鉄金属に大別され、使用用途によって選定します。
鉄鋼金属は炭素鋼、特殊鋼(合金鋼)、鋳鉄などがあります。
鉄鋼金属
炭素鋼
SPC材(冷間圧延鋼板)、SS材(一般構造用圧延鋼材)、S-C材(機械構造用炭素鋼材)、SK材(炭素工具鋼鋼材)など。
特殊鋼(合金鋼)
特殊鋼(合金鋼)は、炭素鋼に様々な元素を添加した鉄鋼です。
5大元素の炭素・シリコン(ケイ素)・リン・マンガン・硫黄の元素以外にもクロムやニッケル、コバルトなどを添加した合金鋼になります。
元素添加することにより、強度・硬度、耐食性・耐摩耗性・粘りなどの性能を持たせることが出来ます。
特殊鋼(合金鋼)には、ステンレス鋼やクロムモリブデン鋼、合金工具鋼などがあります。
鋳鉄
鋳鉄(ちゅうてつ)は、鉄と一定量の炭素および他の合金元素を含む合金で、融点が低く溶解しやすく鋳造されることが一般的です。高温で溶融した鋳造合金を型に流し込んで形成されます。このプロセスにより、複雑な形状の生産が可能です。
鋳鉄は、マンホールや水道管、工業製品、機械部品など幅広い分野で使用されています。
鋳鉄の種類は白鋳鉄・ねずみ鋳鉄(FC)・強靭鋳鉄・ダクタイル鋳鉄(FCD)・可鍛鋳鉄などがあります。
非鉄金属
非鉄金属(ひてつきんぞく)は、主に鉄以外の金属を指します。このカテゴリーにはさまざまな金属が含まれており、銅、アルミニウム、鉛、亜鉛、ニッケル、チタン、スズなどがその代表例です。
非鉄金属は、特性に応じて様々な用途に使用され、製品の性能や軽量化、耐腐食性などの要件を満たすために重要な役割を果たしています。
アルミニウム合金
アルミニウム合金は、アルミニウムと他の元素との組み合わせで構成される合金です。
鉄などと比較して軽量で柔らかい、切削性が高い材料になります。
また、耐食性や導電性、熱伝導性が高く様々な用途に使用されています。
銅合金
銅合金は導電性や熱伝導性に優れている材料で、耐食性にも優れており、銅電線やヒートパイプ、フライパンや鍋などの日用品にも多くの製品に使用されています。
マグネシウム合金
マグネシウム合金は、金属の中でもっとも軽い実用金属です。軽量金属で強度と剛性に優れています。
性能的なメリットが多い材料ですが、加工性は悪い・燃えやすいなどデメリットもあります。
ノートパソコン・デジカメ・自動車関連など幅広い業界で使用されています。